紙の知恵袋

    製図用紙と複写①   2016.1.5

    製図用紙として、どのような紙がいつから使われてきたのか、その正確なことはわかっていません。というのは、このブログで以前にも書きましたが、昔はお寺、ピラミッド、城などを建てる時、あらかじめ設計図を描くことは殆ど無かったからです。 但し、日本では7世紀頃から紙が作られていましたので、それらを使って設計図らしきものが書かれたかもしれません。

     製図、画材用紙として、よく知られたものでは1700年代にイギリスのケント州で生まれた「ワットマン紙」が有名で世界中に輸出されました。ワットマン紙はすでに販売が中止されておりますが日本では海図用として開発された「ケント紙」があります。ケント紙は一般の製図用にも使われましたが、現在は画材、名刺用紙等として残っています。

     さて、近代的な技術、製図教育は18世紀末にフランスで設立された「エコール・ポリテクニーク」に始まるということを以前にも書きました。そこから現在に至るまで設計・製図の技術は大きな進歩があった訳ですが、製図用紙は複写との関係が極めて大きいため、まずそのあたりから見てみたいと考えます。

     当初、設計図はワットマン紙やケント紙などに烏口や専用ペンを使って墨で書かれていました。しかし、図面は関連する人、部、組織で情報を共有するために複数のコピーを作成する必要があります。1445年頃グーテンベルクによって活版印刷の技術が考案され、聖書などの本の大量生産が可能になりましたが、原本から少部数を複製するためには手書きでするしかなく(トレース⇒トレーシングペーパー)、設計図などは手間もかかり誤りも頻発します。

     初めての機械的コピー機は蒸気機関を発明したジェームス・ワットによって1780年に開発された「コピープレス」と言われています。これはコピーインクという特殊なインクで書いた紙の上に薄い紙を乗せてプレスをすると上の薄い紙に下のインクが染みて転写されるというもので、20世紀まで使用されたそうです。その後、謄写版や銀塩写真なども出てきましたが、効率、コストの面で難がありそれほど普及しませんでした。

     このような中、1842年イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルによって「青写真」が発明されました。青写真は原稿と感光紙を重ねて露光すると黒い文字や線は光を通さないので白く残り、それ以外の部分は光を通し青く発色します。その後、1920年ドイツでジアゾ式複写機(青焼機)が開発され、機械や建築の図面に使われたため、設計図のことを「青写真」と呼ぶようになりました。この複写機を利用するためには、透明度の高い用紙に図面を書く必要があり、それがいわゆる製図用紙・トレーシングペーパーと言うことになります。ただ製図用紙と言ってもかなり種類があり、木材パルプのみならず、コットン、リネンなどを原料にしたものや、日本の和紙も製図用紙として広く使われてきました。当初、図面用に用いられた和紙は、その特徴から土佐で手漉きされた「図引紙」と言われております。一時は、機械すきの和紙も多く使われましたが、現在は需要激減のため、手漉き、機械すき共、図面用和紙の生産量は極めて少量となっています。

    一般的に複写用の製図用紙としては、木材パルプから作られたトレーシングペーパーが多く使用されてきました。トレーシングペーパーは、普通紙と違い半透明ですが、紙の透明度というのは、その繊維の間に含まれる空気の量によって異なってきます。空気の量が多いと光がその空気に乱反射して、反対側に抜ける率が低くなります。一般的に印刷用やPPC用の上質紙などは、パルプの繊維が長く、その間に空気が多く含まれ、光が乱反射して白く見えるわけです。トレーシングペーパーは繊維を細かく砕き(叩解)、圧縮してより薄くし、繊維の間の空気を極力少なくすることにより光を反対側に抜けやすくしたものです。そのため半透明に見えるわけです。この他トレーシングペーパーには、伸縮、カール、破れ易さ、筆記性など多くの弱点もあります。それらを克服するために製紙メーカーは研究を重ねてきた訳ですが、今やこのトレーシングペーパーも製図用としては極めて需要が少なくなってしまいました。その理由は複写技術の進歩発展によるものであり、次回はそのことについて述べる事と致します。

    ・パルプの叩解(こうかい):http://homepage2.nifty.com/t-nakajima/kamikiso01.html

    ・図面の修復:http://www.trcc.jp/1st_archives_001_03.html

    ・ガラスはなぜ透明なのか:http://optica.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-541a.html

    コメントする

    名前

    URL

    コメント

    今月のおすすめ商品

    カラー ブラック A3ファストデリバートート・A3横型クリップボード・キングドッチファイルA3横とじファイル3点セット

    ¥4,860(税込)

    A3ファストデリバートート・A3横型クリップボード・キングドッチファイルA3横とじファイル3点セット

    A1用 オリジナルインクジェット用紙(普通紙)64g/m2 594X120m巻 2本入り IJ6H594DJ  

    ¥6,156(税込)

    CAD用インクジェット用ロール紙
    激安インクジェット用ロール紙

    A1用 オリジナルインクジェット用紙(普通紙)64g/m2 594X70m 1箱/4本入 IJCAD594-4

    ¥5,783(税込)

    CAD用インクジェット用ロール紙
    激安インクジェット用ロール紙

    ファストデリバー・トートバッグ A3用横型 カーキ 外寸(内寸):縦370(360)×横460(450)×厚150(145)mm

    ¥3,400(税込)

    A3トートバッグ横型
    図面バッグ

    A1図面・ポスター用クリアケース ファスナー付き (でら!ホルダー200) 単品1枚 MK-CASE 外寸:縦620X横880X厚0.20mm

    ¥1,250(税込)

    図面クリアケース

    桜井 カラーレーザー用 耐水紙150μ オーパーMDP150 A3 1冊(50枚入) 15MDP03

    ¥3,353(税込)

    A1図面・ポスター用クリアケース ファスナー付き (でら!ホルダー105) 30枚セット BRE-AM-CASE30 外寸:縦650X横900X厚0.105mm

    ¥23,705(税込)

    図面クリアケース

    A3 レーザーピーチ LPWT210A3   厚さ210μm  30枚組/冊

    ¥5,250(税込)

    ミルキーホルダー  A4  厚さ270μm   20枚組/冊

    ¥3,515(税込)

    オリジナルA2判両面OK Wクリップボード ライトグレー PR-999

    ¥4,266(税込)

    店長紹介

     こんにちは。
    マチキャド店長の水谷です!
    マチキャドは設計・製図関連の紙製品を中心としたショップサイトです。
    紙に関する疑問、要望などありましたら何なりとお尋ねください。

    続きはこちら>> 

    紙の知恵袋

    営業日カレンダー
    • 今日
    • 定休日
    • 祝日

    [メルマガ登録]
    下記にメールアドレスを入力し登録ボタンを押して下さい。

    変更・解除・お知らせはこちら

    ページトップへ