紙の知恵袋

    製図用紙と複写③ 2016.3.7

    図面の複写方式で大活躍していたジアゾ複写に衰退の兆しをもたらすこととなったのは、1950年代に登場した「ゼログラフィー」という、これまでにはなかった電子複写方式でした。1959年にアメリカで「Xerox914」が発売され、2年後には日本でも富士ゼロックスによってゼロックスの複写機が販売されました。この複写方式は現在では当たり前になっていますが、従来のジアゾ方式の「透過性のある原稿を使い、感光液を塗布した紙にコピーし、現像液又はガスによって現像する」という方式とは全く違いました。すなわち「どんな原稿からも、何も加工していない普通の紙にコピーが出来る」という画期的なものでした。しかし、当初は高価であったため、大企業、銀行、官庁などに需要は限られていました。1970年代に入りゼロックスの基本特許が切れたこともあり、国産メーカーが一斉に電子複写機に参入し、事務用タイプでは一気に普及が進みました。

    図面用の電子複写機は1966年に発売された「ゼロックス1860」が、コピー巾440㎜ですが長尺の複写が可能でした。A0判でも左右半分づつコピーしてから透明テープで貼りあわせれば一枚の図面になるということから、自動車、電機、工作機械など、メーカーの設計・複写部門に急速に導入されました。しかし、当初はコピーコストも高かったため、図面をトレーシングぺーパーにコピーし、それを原稿にしてジアゾ感光紙に焼き付けるという、いわゆる第2原図の用途がほとんどでした。この「ゼロックス1860」は高熱でトナーを定着させるため、熱に強いトレーシングペーパーが要求され、厚手の輸入トレーシングペーパーの需要が拡大しました。又、この頃はまだ「CAD」が産声を上げたばかりで一般には普及しておらず、設計者は手書き用の製図用紙を大量に使用していました。この頃から10数年の間がトレーシンペーパーと感光紙が最も多く使用されていた時代と言えるでしょう。

    1980年代に入り、CADと図面用大判電子複写機の普及により、まずトレーシングぺーパーの需要が急減し、その後、ゆるやかに感光紙の使用も減ってゆきました。そして2015年3月、ジアゾ複写機・感光紙の供給メーカーである「㈱リコーが、《2016年3月末をもって「ジアゾ複写機の消耗品販売終了」及び「ジアゾ複写機の保守の終了」》を発表しました。このことは、ジアゾ複写方式とそれに深い関わりを持つトレーシングペーパーのこの業界における使命が完全に終了したことを意味すると言えるでしょう。

    ㈱リコーお知らせ:https://jp.ricoh.com/info/2015/0304_1.html

    世の中に家を建てたり、自動車その他を生産したり道路、橋などを作ったりすることが続く限り、「設計と図面の出力・複写」は切っても切れない関係にあり、無くなることはありません。そういう中でこれらの技術も更に一層の進歩・変革を重ねていくことでしょう。私たちもそれらの流れを見ながら、且つ体験しながら、その技術革新に必要なサプライ用品、ハードなどの情報提供と販売に取り組んでいくことが一つの楽しみであり使命であると考えております。

    「製図用紙と複写」は今回をもって終了します。少しお休みを頂き、又、新たなテーマでお話しできればと考えております。

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