紙の知恵袋

    製図器具・用紙の変遷 2015.11.24

     ものを作ったり、建物を建てたりするその前の段階で行うのが設計であり、それに伴い製図が必要になります。今回は設計・製図に必要な筆記具や製図器具についてお話し致します。

    1、筆記具・製図器具

      私達が小学校に入り、最初に手にした筆記具といえば鉛筆でしょう。鉛筆は黒鉛を棒状にして木軸の中にはさんだものですが、この種の鉛筆ががヨーロッパで初めて作られたのは1660年頃と言われています。ドイツのステッドラー社の祖先であるフリードリッヒ・ステッドラーもこのような鉛筆を作っていました。それ以前にも木の先端に黒鉛の塊を詰めて使うようなものはありました。1761年ドイツのカスパー・ファーバーが黒鉛の粉を硫黄で固めた芯により鉛筆の製造を開始しましたが、書き心地は良くなかったようです。その後、黒鉛そのものが品薄状態となったため、1795年フランスのニコラス・ジャック・コンテによって開発されたのが、黒鉛の粉に粘土を加えて加熱し芯を作る技術でした。基本的にはこの技術で現在も芯は作られています。1835年ヨハン・セバスチャン・ステッドラーが鉛筆製造会社を創立。又、1839年、同じ技術を使って鉛筆を作っていたローター・ファーバー(ファーバー・カステル社4代目当主)が、六角形のデザインと「長さ、太さ、硬さ」の基準を作りました。

     我が国に鉛筆が伝わった正確な時期は分かりませんが、徳川家康(1542~1616)や伊達正宗(1567~1636)が持っていたとされる鉛筆)が現存しているそうです。ということは黒鉛を使った鉛筆が作られた初期の時代のものが、すでに日本に渡来していたと思われるわけですね。 日本で最初に鉛筆が作られたのは1870年代ですが、その後現在の三菱鉛筆、トンボ鉛筆などの基礎となる工場が鉛筆の製造を始めており、それぞれ100年以上の歴史を持っています。

     さて、製図用には一般的に濃度が2H~6Hのものが使われますが、精密な図面になると更に硬い7H~8Hも使われるようです。鉛筆の芯の硬さ(濃度)はJIS規格で6B~9Hまで17種類に設定されていますが、私たちが普通に使う硬さはHB、F、H、などが多いと思われます。現在はCADが主流になっていますので、設計の現場において鉛筆を使う事はかなり少なくなっていると思われます。しかしながら設計者の中には、筆記具にこだわりを持つ人も多く居るようです。

     世界中で鉛筆製造ににかかわる企業は数えきれないほどあるようですが、多くは部分加工、原料加工で、一貫生産しているメーカーはそれほど多くはありません。鉛筆の老舗ブランドというと歴史的にもドイツが多いのですが、中でも製図用では「ステッドラー」がよく知られており、愛用者も多いようです。同社は設計者からは芯ホルダーのイメージが強いようですが、他にもシャープペンシル、ボールペン、マーカーなど多種多様な筆記具を世界中で販売しています。他の筆記具メーカーとしては同じくドイツの、「ファーバー・カステル」、中空ペンの「ロットリング」などが有名です。日本では、三菱鉛筆、トンボ鉛筆が老舗の筆記具メーカーとして頑張っています。

    筆記具以外の製図用具に関しても少し見てみたいと思います。日本に西洋の製図用具が入ってきたのは明治以降のことです。明治20年頃には烏口、コンパスなどが販売されており、その頃には鉛筆も国産化して普及していました。烏口で使用するインクは日本では輸入品よりも良質な墨が好まれたようです。線を引くためのT定規、三角定規、雲形定規などの定規類。正確な縮尺で書くため、また図面を読むために必要な三角スケール。消しゴム、字消板、コンパス、デバイダー、分度器、など製図に必要なあらゆる器具が輸入されたり、開発されたりしてゆきました。中でも設計者の仕事を飛躍的に効率化させたのが、T定規、勾配定規、三角スケールなどの機能を集約したL型の定規をアームで操作するようにした製図機の出現でした。1953年に、武藤工業が製造販売を開始した「ドラフター」は瞬く間に世界中で愛用されるようになりました。私自身1970年代に、原子炉を製造する企業の設計室を覗いたことがありますが、そこにはドラフターが設置された100台以上のA0製図台に向かって図面を書く設計者の姿があり、壮観でした。

    しかし1980年代、パソコンの普及によりCADの需要が拡大したため、手書きの製図作業が減り、独占的な販売を誇っていた「ドラフター」は需要が減少してゆきました。ドラフターが多くの設計者にもたらした貢献度は極めて大きなものがありましたが、それだけに予想をはるかに超える需要の急落は、その様子を恐竜の滅亡に例える人も居たほどでした。それほどCADの普及は急激で目覚ましいものがあった訳です。上に記した、原子炉メーカーの設計室も短期間に全てがCAD用のディスプレーに入れ替えられていました。 尚、「ドラフター」は現在も武藤工業の子会社で販売されております。その後、コンピューターを活用した設計、製造に関する進化は目を見張るものがあり、現在はCAM、CAE、3Dプリンターなど、あらゆる用途に応用され現在に至っています。私のような紙の事しかわからない門外漢はその進歩についてゆけず「凄いなー」と訳も解らず感心して見ているだけの有様です。

    今回は少し、鉛筆に関することを長々と書きすぎた感じがします。次回は設計用紙と複写に関することを述べてみたいと思います。                                 

    鉛筆お役立ち情報 :http://jwima.org/pencil/02rekishi/02rekishi.html

    CAD : https://ja.wikipedia.org/wiki/CAD

    ムトーエンジニアリング : http://www.mutoheng.com/~drafter/drafter/d_EAJ-1000.html

    機械用CAD : http://d-engineer.com/3dcad/cadsyurui.html

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